大判例

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福岡高等裁判所 昭和28年(う)1192号 判決

記録によると本件は四回に亘る業務上横領の所為が併合罪の関係に在るものとして起訴されたのに対し、原審が起訴のとおり四回に亘る業務上横領の所為あることを肯定しながら箇々の横領額を明らかにしないでその総額を確定し被告人の四回に亘る業務上横領の所為は包括して一罪を構成するものとして処断していること所論のとおりである。弁護人は訴因変更の手続を経ないでは斯様な認定はできないと主張するけれども被告人としては起訴に係る箇々の業務上横領の所為全般に亘り防禦権をつくすべき立場に在る即ち金額の点のみに限局していえば被告人は起訴に係る金員全額を否定すべき立場に在るからたとえその金額は確定されないでも起訴に係る各箇の横領の金額の範囲内で横領の事実が肯定されその総金額が確定できる以上之によつて処断するも被告人に対し防禦上実質的な不利益を与えているとは云えないし又併合罪として起訴された事実を一罪として処断しても被告人に不利益を及ぼさないから原審が訴因の変更の手続を経ないまま判示の如く事実を認定し之を一罪として処断したのは決して違法ではない。

(後略)

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